観察日記
冬の寒さに備える樹木の冬芽たち
ホオノキの冬芽(モクレン科)
日本産樹最大級の単葉をつける落葉高木で、今は灰色のキャップ状の芽鱗に包まれた冬芽を枝先に付けています。非常に大きく、その枝の所々に葉痕も見られます。5月になると枝先に径20cm程の白い花が開きます。花の萼と花弁の区別は明瞭でなく9~12個です。 (「クリンソウの谷」に見られます)
トチノキの冬芽(ムクロジ科)
掌状複葉の落葉高木で、今は枝先に茶色の冬芽を付けています。数枚の芽鱗からなり、表面は樹脂を分泌し粘性があるので、さわるとペタペタします。5月下旬ごろ開花します。小花は雄しべの長い白色の4弁花で、それが20~30個集まり円錐形の花序をつくっています。 (「中央広場」などに見られます)
キタコブシの冬芽(モクレン科)
落葉高木で、今は寒さを防ぐために白い毛でおおわれた冬芽を枝先に付けています。春、暖かくなるとそこから花が出てきます。側にある小さなものが葉の冬芽です。4月に白い6枚の花弁の花を咲かせます。 (「マグノリア通り」などに見られます)
ナナカマドの冬芽(バラ科)
山地の林縁などに生える落葉小高木で、葉は奇数羽状複葉、秋にはきれいに紅葉します。今は枝先に、4枚ほどのすべすべした芽鱗で先の尖った茶色の冬芽を付けています。その下には葉痕もあります。5月下旬ごろ枝先に複散房花序を出し、白い5弁花を多数つけます。 (「ナナカマドの森」に見られます)
紅葉の絨毯(じゅうたん)…落葉が紅葉の絨毯をつくり出しました
最低気温が10度を下回った10月下旬より、野草園の木々はきれいな紅葉を見せてくれました。すでに二十四節気では立冬の時、野草園の紅葉もほぼ終わりです。野草園のきれいな風景と紅葉の絨毯(じゅうたん)を紹介します。
野草園のいたるところにあるヤマモミジの紅葉の絨毯です。真っ赤に色づく紅葉や鮮やかな黄葉が見られました。
「スワンヒルの庭」の北側あるウリハダカエデの黄葉の絨毯です。大きい葉の黄葉は見応えがありました。
野草園内の通路や芝生の上は、紅葉の落ち葉で覆われています。見上げると、樹木の枝には冬芽が目立つようになりました。蔵王の厳しい冬を越すため、また、来春すぐに芽吹くことができるように、木々はしっかりと準備しています。
まだ花が咲いています、ハーブ園
園内の紅葉が終わり、冬に向け草花も枯れてなくなりつつあるのに、野草園の東側にある「ハーブ園」だけは、幾つかの花が咲いています。その中でもピンク色のチェリーセージの花は、今も群生しています。
チェリーセージの群生(シソ科)
メキシコ原産で、開花期間が非常に長く、ピンクがかった赤色の花を次々に咲かせます。花は唇形でサクランボのような香りがします。 (「ハーブ園」に見られます)
オオバクロモジの冬芽と果実(クスノキ科)
落葉低木で、若枝は緑色に黒い斑点があります。今は中央に葉の冬芽、周りに丸みのある数個の花の冬芽がその若枝に付いています。そして黒い茶色の果実も付いています。4月になると、葉が出るのと同時に葉の腋から黄色の数個の小花を咲かせます。 (「花の草原」などに見られます)
オオカメノキの冬芽(レンプクソウ科)
落葉低木で、今はウサギの頭のような特徴のある形をした冬芽が付いています。それは、中央の丸いものが花の冬芽で、周りの尖ったものが葉の冬芽です。5月になると、ガクアジサイに似た白い花を咲かせます。 (「七草の庭」の南側などに見られます)