観察日記

アケボノソウが見頃を迎えています

 アケボノソウが見頃を迎えています。写真を見てお分かりのように、個性的で鮮やかな花です。ファンが多く、問い合わせや案内をする機会が多い植物です。ミヤマカスミザクラそばの「案内番号②」が来園者に人気の場所です。他に、「ミズバショウの谷の木道沿い」では、上から見下ろして撮影できます。

 日本では北海道、本州、四国、九州に、アジアでは中国、朝鮮半島に分布します。山野の水辺に生える2年草です。茎は四角張り直立し、高さ60~90cmになります。葉は柄があり対生し、茎の頂部を分枝し、柄のある白色の花をつけます。萼は緑色で、花冠とともに5つに裂け、花冠裂片には緑色の2点と黒紫色の細点があります。雄しべ5本で、蒴果に萼と花冠がついており、発芽後1年目はロゼットのまま過ごします。

 和名の「曙草(アケボノソウ)」については、花冠の斑点を夜明けの星に見立てたという説が大変有名ですね。目を引く緑色の2つの点は、蜜腺です。昆虫が蜜を求めて集まってきます。

ナツエビネが例年より遅く9月5日にやっと咲きました。

ナツエビネ(ラン科)  

 本州、四国、九州に分布します。国外では、中国南部、台湾、朝鮮(済州島)に分布します。暖地の落葉樹林内に生える多年草です。高さ20~40cm位です。葉は4~5枚が束生し越年生です。淡緑色の長楕円形で先端は鋭く尖り、縦にひだがあり光沢はありません。8月下旬に葉腋から1~2本の花茎を葉より高く出し総状花序をつけます。花は径2cm位で距はなく、側花弁は線形、唇弁は垂れ下がって3裂し、中裂片は大きく縁が波状で先端が尖ります。色は白色から深い桃紫色まで多様です。

 和名「夏海老根(ナツエビネ)」は、夏に開花する海老根(エビネ)であることに由来します。

 開花 令和4年 9月1日、令和3年 8月27日、令和2年 8月21日、令和1年 8月22日 開花日と気候との関係を調べるため開花した日の気象情報(その日の午前9時の気温と湿度&最低気温、前日の最高気温)を並べてみましょう。

午前9時の気温  午前9時の湿度  その日の最低気温 前日の最高気温  
令和5年9月5日24.4℃92%19.0℃28.0℃
令和4年9月1日26.2℃75%20.0℃26.5℃
令和3年8月27日26.5℃66%20.0℃28.0℃
令和2年8月21日28.2℃70%16.0℃32.0℃
令和1年8月22日24.0℃記録なし18.5℃27.0℃

 5年間のデータから開花にはその日の最低気温が20.0℃以下が条件の様です。この仮説が正しいか、次年度以降調査していきたいと思います。

 

マタタビの虫こぶの実が落ち始めました

マタタビ(マタタビ科)

 北海道、本州、四国、九州に分布します。国外では千島列島、朝鮮半島に分布します。湿り気のある山地の林縁に自生する雌雄異株の蔓性の植物です。葉は互生し葉柄があり、花期には枝先の葉が白くなります。葉のわきに芳香のある白い梅の花に似た5弁の花が咲きます。雄花は多数の雄しべを持ち、雌花は柄があり単独で咲き、1本の雌しべがあり、柱頭は多数に裂けます。別名 ナツウメ(夏梅)ともいいます。

 和名「木天蓼(マタタビ)」は、アイヌ語のマタタンプが転訛しました。また、古名で和多々比(わたたび)と呼び、ワタタビが転訛したという説があります。

 「マタタビアブラムシ」という小さな昆虫が、花の子房に産卵すると、植物組織が異常な発達を起こしてこぶ状の実になります。これを虫こぶといいます。また、虫癭(ちゅうえい)ともいいます。

 このマタタビの虫こぶ(虫癭)や蔓(つる)、虫こぶでない実は薬草になります。生薬名は、熱湯又は短期間蒸してから、天日で乾燥させたものを木天蓼(モクテンリョウ)、マタタビの蔓を乾燥したものを天木蔓(テンモクツル)、虫こぶでない実を乾燥したものを木天実(モクテンジツ)と言います。

 漢方薬「木天蓼」の薬効は、冷え症、利尿、強心、神経痛とされています。

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