観察日記
一属一種、日本特産の花…「オサバグサ」
オサバグサ(ケシ科)
根もとで四方に広がった葉はシダの葉にしか見えません。杉林の林床で、葉の中心から30㎝程の花茎を出して、白色の四弁花を下向きに付けます。名は葉の形が機織りの筬(おさ)に似ていることから来ています。 (東トイレから少し上がった杉林の林床に見られます。)
ヤマブキ(バラ科)
太田道灌の逸話に出てくる、果実が実らないヤエヤマブキと異なり、本種は秋にしっかり実を付けます。黄色い花弁は5枚あり、雄しべも雌しべもちゃんとあります。しなやかな枝が風に揺れる様子から“山振”(やまふき)という字があてられたと言います。 (「マグノリア通り」や東トイレまでの道なりに見られます。)…この後は、通称“ヤマブキロード”と言われるほど咲きます。
ヤマウグイスカグラ(スイカズラ科)
野草園の入口を入ってすぐの「マグノリア通り」の両側に、今、ピンクの小さな漏斗状の花をたくさん咲かせています。この後、初夏にはグミに似た実が赤く熟し、甘く美味しくなります。名は、細かい枝の間をウグイスが神楽を踊るように戯れる感じに見えるところから来ていると言います。
イカリソウ(メギ科)
花を一目見るだけで、船の錨を連想するような独特な形の花です。ピンク色の本種は太平洋側の山地に多く、日本海側に多いのは黄色い花色のキバナイカリソウです。4枚の花弁から伸びた長い距が四方に突き出し、前の方に曲がっています。 (「薬草コーナー」や「友好姉妹都市の庭」の付近に見られます。)
サワオグルマ(キク科)
ミズバショウの咲いている湿地に、高さ50~80cmの茎の先に小菊の様な花を付けている姿を目にします。湿地の好きな多年草で、茎の先端に径3~4㎝の黄色い頭花を散房状に多数つけます。10数個の舌状花が外周に並び、中央には多数の管状花があります。
林下に美しく咲く…「シラネアオイ」
シラネアオイ(キンポウゲ科)
日本特産の一属一種の植物です。草丈は20~30㎝、径7~10cmの淡紫色の花は花弁状の萼片で、4枚ついています。葉は掌状に分かれています。名は日光の白根山に多くあり、花がタチアオイに似ているからです。 (「ひょうたん池」の西側や「深樹の小径」などに見られます。)
オオカメノキ(レンプクソウ科)←スイカズラ科
大きく丸い葉が亀の甲羅に似ているのでこの名です。ガクアジサイに似た白い花はとても美しいのですが、雄しべ・雌しべのある花は真ん中の小さな花で、周囲の大きな花は蕊のない装飾花になっています。花の咲く前の冬芽が“うさぎさん”のように見える面白い植物です。 (「スワンヒルの庭」などに見られます。)
オオタチツボスミレ(スミレ科)
丸い心形の葉と立ち上がる茎が特徴の一つです。林の縁や山道の脇などに普通に見られるスミレです。花の後ろの距が白い点なども本種の特徴です。似た花で、距も紫色のスミレはタチツボスミレです。 (園内のあちらこちらで見かけます。)
トウゴクサイシン(ウマノスズクサ科)
従来はウスバサイシンとされていた関東以北のものが「トウゴクサイシン」として分けられました。雑木林の湿った林下によく見られ、本園では、「深樹の小径」に群生が見られます。
ミネズオウ(ツツジ科)
高山の岩場に生える常緑の小低木。高山に生えるツツジ科の花は釣鐘型が多いのですが、本種は上を向いて咲きます。そして花冠が5裂し、裂片が尖るので星形の花に見えます。北海道のものは紅紫色の花ですが、本州では白に近い紅紫色が普通のようです。 (「ロックガーデン」の頂上付近に見られます。)
アズマシャクナゲ(ツツジ科)
枝の先に花芽が1個つき、そこから数個の花が咲きます。東北地方や関東地方に分布するのでこの名ですが、常緑で革質の葉は、裏面に灰褐色の真綿状の軟毛があり白く見えるので、東北地方では“ウラジロシャクナゲ”とも言われます。 (「大平沼」の北側などに見られます。)
赤い若葉に白い花びら…「ヤマザクラ」
続々とサクラが咲き出しています。
ヤマザクラ(バラ科)
若葉と同時に花を咲かせます。赤褐色の若葉と白い花のコントラストが美しく、ソメイヨシノとは違った魅力があります。本園のヤマザクラは植栽したものです。 (「マグノリア通り」などに見られます。)
ベニシダレ(バラ科)
花は小輪、一重咲きで紅色をしています。エドヒガンの変種で、枝が下垂するものです。その中でも花色が特に濃い紅色のものが本種です。花色が薄いシダレザクラよりも遅く咲き、花は平開しません。 (「吉林の庭」に見られます。)
トウゴクマムシグサ(サトイモ科)
少し暗い林下に、蛇が鎌首をもたげたような格好で立っています。頭の部分の仏炎苞は緑色~紫色。筒口部は少し曲がって耳状となっています。仏炎苞の中にある付属体は先端が真っ直ぐな棍棒状になっています。 (「ひょうたん池」の西側などに見られます。)
ヒメツルニチニチソウ(キョウチクトウ科)
ヨーロッパ原産で寒さに強く、茎はツルとなり細長く横に走ります。径3cm程の淡紫色の花は5裂して平らに開きます。よく見ると、花びらの一枚一枚は扇風機の羽根のように回旋状をしていることが分かります。 (「ロックガーデン」の登り口に見られます。)
フタバアオイ(ウマノスズクサ科)
薄いピンクの1㎝に満たない花は目立ちませんが、艶のある葉は、徳川家のご家紋のデザインとなったと言われる美しさです。茎は地を這って伸び、その先にハート型の葉を2枚つけるのです。 (「ひょうたん池」西側に見られます。)
ヤブレガサ(キク科)
花が咲くのは七月頃ですが、今こそ名前にぴったりの格好をしています。草丈は20cmほどで、その先に付く若葉が破れた傘を開いているように見えるのです。山地の木陰などに生える多年草です。 (「ひょうたん池」西側に見られます。)