観察日記
山で美味いは……「オケラ」
オケラ(キク科)
日当たりの良い山地に多い、草丈30~60cmの多年草。枝の先に、総苞をもつ鐘型の紅色を帯びた頭花を付けますが、周囲を、羽状に分かれ、針状の魚骨状になった総苞葉が包んでいる姿が特徴的です。「山で美味いはオケラとトトキ(ツリガネニンジン)」と言って、若苗は美味しい山菜として喜ばれます。和名の由来ははっきりしません。 (「友好姉妹都市」の東側に植栽)
クサフジ(マメ科)
ススキなど草藪の中に、藤色の小花を多数咲かせている多年草。茎は丈夫なツル性で、草丈は80~150cmになり、葉は偶数羽状複葉になっています。葉腋から花柄を出し、長さ3~10cmの総状花を付けます。長さ10~12mmの青紫色の蝶形花は一つの方向を向いています。和名は、花と草全体がフジに似ているからです。 (「ハーブ園」東側などに見られます)
ミヤマガマズミ(スイカズラ科)の果実
山地に生える、広い倒卵形の葉を持つ、高さ2~3mの落葉低木。夏に白い小花の散房花序を短枝の先に出していましたが、今は写真のように6~7mmの球果が赤く熟し始めています。この球果は酸味があり、山のおやつとして食べる人もいます。ガマズミは触ると葉がザラツキますが、本種は比較的スベスベで、若い株の葉は縁に暗紫色の着色がよく見られます。 (園内のあちこちに見られます)
ヌスビトハギ(マメ科)の果実
日当たりの良い林縁や道端に、ピンクの小花を見せている、草丈30~120cmの多年草。いよいよ和名の由来となっている果実ができてきました。1cm弱の“サングラス”形の果実は、カギ毛によって衣服などにくっつき、遠くに運ばれます。この果実を“盗人の足跡”に見立てての和名です。 (園内のあちこちに見られます)
「吾も亦紅!」から「ワレモコウ」
これも立派な花です。
ワレモコウ(バラ科)
小林一茶が「吾木香さしだして花のつもりかな」と詠んだほど、一見花には見えませんが、花弁はないものの、暗赤紫色の4枚の萼片から成る数ミリの小花を、1~2cmの楕円形の花穂の姿にまとめています。小花は上から順に咲き、目を凝らしてよく見ると、紫色の葯が見えます。和名は、この花の色が何色か話し合っているときに、「吾も亦、紅」と、花自身が言ったとか、命名委員長が言ったとか諸説あるようです。 (園内のあちこちに生育。「花の草原」には植栽しています)
ベニバナヤマシャクヤク(ボタン科)の果実
杉林の中に、静かに咲いていた丸みを帯びた花の後に、写真のような派手な果実が熟してきました。30~50cmの高さの茎の上部に、長さ3~4cmのアケビに似た形の房を3つ合わせた様な果実を付けます。中の赤い種は不稔のもので、青黒く丸々となっているものはしっかり受粉したものです。 (「ミズバショウの谷」から入った杉林の中などに生育)
サワヒヨドリ(キク科)
割合に湿った場所を好む、高さ60~100cmの多年草。淡紅紫色の集散花序の花はフジバカマによく似ていますが、対生する葉が深く3つに裂け、6枚の葉が輪生しているように見えるのが大きな特徴です。筒状花は、淡紅紫色の他に白色のものもあり、ヒヨドリバナとは縮れ毛がある点で区別できるようです。 (「ミズバショウの谷」などに生育)
ハッカ(シソ科)
溝地や田のあぜなど、やや湿った場所を好む、草丈20~50cmの多年草。茎は四角形で、花は上部の葉腋に球状に集まって咲きます。花冠は長さ4~5mmで、4裂します。葉や茎、植物全体にハッカの香りがします。 (「アケビのトンネル」前などに生育)
別名は“ユウレイタケモドキ”…「アキノギンリョウソウ」
気が早い未熟なクリが落ちた足もとに、こんな不思議な植物が見られます。
アキノギンリョウソウ(イチヤクソウ科)
山地の林内の木陰などに群生する、光合成を行わない多年生の腐生植物です。草丈は10~20cm。葉緑素が全くないので、全体が銀白色です。後に花は上向きになり、茶褐色に変色します。「全体を鱗に包まれた龍」に見立てた和名です。別名はその姿から“ユウレイタケモドキ”とも言われます。 (「薬草コーナー」西側の斜面などに生育)
センニンソウ(キンポウゲ科)
山野の地面に生える多年性のツル植物です。茎は長く伸びて、まばらに分枝し、有柄の葉は奇数羽状複葉です。葉の腋に、径3cm程の白色の花を多数つけます。花弁に見える萼片は、4枚で十字に開きます。花後、花柱が白色の羽毛状になって長く伸びる様子を“仙人のひげ”に例えての和名のようです。 (「マグノリア通り」の正面、オオヤマザクラの木の周囲などに生育)
サラシナショウマ(キンポウゲ科)
山の落葉樹林や草原に生える、高さ1~2mの多年草。大形の葉は2~3回3出複葉で、枝先に30cmにもなる白い小花の花穂を出します。その様子は、まるで大型の試験管ブラシのようです。チョウ達が好んで吸蜜に訪れる花でもあります。和名は、若芽は湯がいた後さらすと食べることができ、根は生薬の升麻を作れることからのようです。 (「クリンソウの谷」の西側などに生育)
実りの秋の1例です。
ヤマボウシ(ミズキ科)の果実
春先にハナミズキによく似た白い花を咲かせていた木に、サクランボほどの果実が赤く熟しました。これは食べられる果実で、特に美味しいとは言えませんが、柿のような、かなり良く言うとマンゴーのような、少しモッタリとした食感です。花(じつは総苞葉)も果実も楽しめるヤマボウシです。 (「大平沼」周辺などに生育)