観察日記
日本固有種、1属1種の花…レンゲショウマ
レンゲショウマ(キンポウゲ科)
花が蓮に、葉がサラシナショウマに似ているので、この和名が付いています。山地の湿り気のある林下などに生える、草丈80cm程の多年草で、花径は4cm程です。うつむき加減に咲く花は日本人の感性に合うのか、「レンゲショウマは咲きましたか?」と言う問い合わせが多い花です。うっすらと赤みを帯びた光沢のある薄紫の、気品あふれる花です。萼も花弁状で平らに開き、花弁は抱えるように咲くので、一見すると二段構えの花弁が並んでいるように見えます。 (「ひょうたん池」の西側、「ハーブ園」前などに生育)
コバギボウシ(ユリ科)
本種も日本固有種です。九州~本州の日当たりの良い山地の湿地に生える、草丈30~50cmの多年草。葉は卵状長楕円形で、先は尖り、基部は多少翼状になって茎に流れます。長さ4~5cmの花は、筒状鐘形で下半分は細く、上部は広がります。一日花で、下から順に咲いていきます。 (「ひょうたん池」西など、園内所々に生育)
ルリタマアザミ(キク科)
地中海沿岸~西アジアに分布する、草丈50~120cmの2年草~多年草。葉は切れ込みが深く棘があり、アザミにそっくりです。茎の頂に、径4~5cmの球形の頭花を付けますが、近づいてみると、5枚の花弁をもつ小さな花が集まって球状になっていることが分かります。和名は、見た目そのものと言う感じです。
オタカラコウ(キク科)
ヒマラヤ~東アジア、日本の山地に分布する、草丈1~2mになる多年草。フキの葉に似た、40~60cmの丸い葉を持ち、立ち上げた茎の上部に円錐状に花穂を付けます。1つの花は黄色い舌状花を8枚前後もち、これが舌状花が2,3枚程度のメタカラコウとの大きな違いです。“雄宝香”の“宝香”とは、防虫にもなる香りの事です。 (「ひょうたん池」南側に生育)
アガパンサス(ユリ科)
南アフリカ原産の、高さ70~100cmの多年草。日本へは明治の初期に渡来しました。茎の頂上に、紫色の細長いラッパ状の花を放射状に開く姿が特徴的です。和名は「ムラサキクンシラン」。根は太くて強いので、斜面や土手の土の流出を防ぐのに役立つそうです。 (「友好姉妹都市の庭」に植栽)
日本固有種の…フシグロセンノウ
フシグロセンノウ(ナデシコ科)
林縁や林の中に生育する、草丈40~80cmの多年草。薄暗い林の中にパッと咲く鮮やかなオレンジの花は、それは美しく、日本特産ならではの趣もあります。平らに開いた5弁花は花径5cm程もあり、雄しべの先の葯は紫色できれいです。和名は、茎の節の部分が紫黒色に見えることから付いたものです。 (「ひょうたん池」西側などに生育)
クサボタン(キンポウゲ科)
本種も日本特産で、本州に広く分布します。茎は直立し、高さ1mにもなる半低木。茎の基部が木質化し、下部は冬も残ります。茎の先端や葉腋に、集散花序を出し、長さ2cm程の淡紫色の花を多数つけます。花弁に見えるのは萼片で、先端がクルリとそり返ります。花の後は、花柱が羽毛状に長く伸びます。和名は、葉がボタンに似ることから付きました。キンポウゲの仲間に多い、有毒植物の1つです。 (「友好姉妹都市の庭」などに生育)
ソバナ(キキョウ科)
山地の林縁や沢沿いなどに自生する、草丈50~100cmの多年草。茎の上部に2~3cm程の青紫色の鐘型の花を付けます。似ているツリガネニンジンとの違いは、花が輪生しないこと。そして、花の萼片は披針形で全縁、雌しべは花からほとんど突出しないことなどです。 (「深樹の小径」などに生育)
ツリフネソウ(ツリフネソウ科)
水辺に群生する、草丈80cm程の1年草。茎は赤みを帯び、節は膨らみます。茎の先に、長さ3~4cmの花をつりさげるように咲かせます。花は紅紫色で、距が著しく後ろに突き出て、渦巻き状に巻きます。熟した果実は、果皮が裂けて種子を勢いよく飛ばします。和名は、帆掛け船をつりさげた様な花の様子から付いたようです。 (「ミズバショウの谷」など、水気の多い所)
山形市が基準標本の産地…ビロードトラノオ
ビロードトラノオ(ゴマノハグサ科)
高さ40~80cmの茎を立ち上げ、茎先に、長さ15cm内外の穂状の花序を付けます。葉の両面は、ビロードのような手触りの軟毛が生えていて、和名の由来となっています。園内にはオカトラノオ、ヌマトラノオ、トラノオ(別名クガイソウ)などの似た花が咲きます。絶滅が危惧される植物で、山形市が基準標本の産地となっています。 (「七草の庭」東側に生育)
シデシャジン(キキョウ科)
本州~九州の山地に生育する、高さ50~100cmの多年草。紫色の花弁は細く5つに裂け、強く反り返るので萼片に見えます。この様子が、紙で作る“四手”に似ているのでこの名です。花冠は、長さ2cm程です。 (「アジサイロード」から杉林に入ったところの林床に生育)
クルマユリ(ユリ科)
亜高山~高山の草地に自生する、草丈30~100cmの多年草。茎の中央より下側に、細長い葉が10枚内外、車輪の様に輪生し、上部には小さな葉が互生します。この輪生する葉の様子から、“クルマ”が付きました。花径は5~6cmで、枝分かれした茎先に数個つきます。 (園内のところどころに見られます)
キンミズヒキ(バラ科)
九州~北海道の道端や草地に生える、高さ30~80cmの多年草。トラノオに似た花穂を付けます。花は黄色で、径7~10mm程。根もとから順々に咲き進みます。花よりも果実(種)が知られており、副萼片が変化しカギ状の刺になり、動物や衣服にくっつくのです。 (園内のあちこちにあります)
ベロニカ(ゴマノハグサ科)
ヨーロッパ原産の、草丈10~100cmの多年草。真っ直ぐ立ち上げた茎先に、10~20cmの花穂を付けます。本種は、美しい青紫色をしているので、別名「ルリトラノオ」と呼ばれます。下から次々に咲き上がるので、長い間、花を楽しむことができます。 (「友好姉妹都市の庭」に植栽)