1.野草園の生物
準備万端 春を待つばかり《ザゼンソウ冬芽》
ザゼンソウ(サトイモ科) の冬芽
木々は葉を落とし、すっかり冬の様相となった「ミズバショウの谷」。(写真左上)よくみると、ザゼンソウの冬芽が見えます。(写真右上)自ら発熱し雪を溶かして顔を出し、早春にいち早く開花するザゼンソウ。(写真左下)青空のもとのザゼンソウ(写真右下)を見るには、あと4か月ほど待たなければなりません。(「ミズバショウの谷」で見ることができます)
ヒガンバナ(ヒガンバナ科)の葉
9月中旬から10月上旬にかけて見ることができたヒガンバナ。(写真下側)花が咲いているときは葉は全くありませんでした。今は、茎と花が枯れてしまい、その根元から葉が顔を出しています。(写真上側)花は葉に会うことはありませんでした。、葉も花に会うことなく、冬越しのあと来年の初夏には枯れてなくなります。互いに会うことはないので、ヒガンバナは「葉見ず花見ず」という異名をもっています。(「野草の丘」で見ることができます)
冬ならではの楽しみ
冬期休園中の園内を使って、毎週末に『スノーハイク体験ツアー』を開催中です。
普段は入ることができない冬の野草園では、冬芽や動物の足跡がたくさん見られます。
多い時は積雪が100cm以上になりますが、今年は雪が少ないためまだ30cmほどです。
圧縮された雪上には、ノウサギやテン、リスなどの痕跡がはっきりと残されています。
写真の上側がノウサギ、下側がテンの足跡です。
どちらも進行方向は左です。
特にノウサギは、跳び箱を跳んだ時のように後足が前足より前に出ているので区別しやすいです。
晴天に恵まれたスノーハイク。
運が良ければ動物たちも現れるかもしれません。
『スノーハイク体験ツアー』詳細はIDEHAホームページから
http://www.ideha.jp/index.html
ミヤマカスミザクラのご紹介
野草園内で自生する桜の木のうちの1本が、この度新品種として「ミヤマカスミザクラ」と
命名されました。
5月中旬に開花予定です。 世界に1本しかない貴重なサクラを是非ご覧ください。
この品種の特徴と命名に至る過程をここにご紹介させて頂きます。
ミヤマカスミザクラ(バラ科)
以前からこの場所に自生していたサクラですが、本園職員であった志鎌節郎さんが、他のサクラとは違っていることを発見しました。そこで、サクラ研究の第一人者の東京大学博物館の大場秀章先生に詳しい研究をお願いしました。その結果、ミヤマザクラとカスミザクラの新しい節間雑種であることがわかり、和名「ミヤマカスミザクラ」学名「Cerasus×shikamae H.Ohba」と命名されました。
本種には次のような特徴があります。
・ミヤマザクラは、葉が開いてから、花が咲くが、本種は開葉と開花が同時で
ある。
・花序はミヤマザクラのように総状で、目立つ苞葉があるが、縁はだいたい
全縁で、ミヤマザクラのような重鋸歯はまれである。
・花弁は、ミヤマザクラのように先が円形ではなく、2つに裂けている。
これらは、もう片方の親であるカスミザクラの特徴を受け継いでいるためと考えられます。
なお、学名Cerasus×shikamae H.Ohbaは、発見者の志鎌節郎さんの貢献を讃えて贈られたものです。