観察日記
たくさんの白い花が横になびくオカトラノオ
オカトラノオ(サクラソウ科)
梅雨時、野草園に雨が多く降る頃、オカトラノオが咲き出します。すっと真っ直ぐに茎を立ち上げ、その頂にたくさんの白い花をつけて横になびかせる姿はとても印象的です。その花穂の姿が“虎の尾”に似ていることが名前の由来のようです。 (「マグノリア通り」などで見ることができます)
クララ(マメ科)
この植物の名前を聞くと、多くの方が某アニメに登場する女の子のことを思い浮かべるようです。でも、太い根を噛むと、とても苦くて“クラクラする(目がくらむ)”というのが名前の由来のようです。由来を聞くと、思わず笑ってしまいます。古名は“まいりぐさ(末比里久佐)”、苦くて参りましたということらしいのですが、ますます面白い名前です。(「マグノリア通り」の南西側などで見ることができます)
マタタビ(マタタビ科)
この時季、山に出かけると白くなっている葉をたくさん見かけます。マタタビの葉です。花の咲く頃、枝先の葉の一部が白くなり、虫たちに花の位置を知らせているとも言われています。近づいて葉の下を見ると、花があります。雌雄異株で、雄花(写真左)はたくさんの黄色い葯が目立ちます。両性花(写真右)は中央に毛のような花柱があります。よく観察してみましょう。 (「大平沼」の北側で見ることができます)
ヒツジグサ(スイレン科)
水に浮かぶ、白いヒツジのようだから“ヒツジグサ”だと思ったら全く違っていました。ヒツジグサのヒツジとは、“未(ひつじ)の刻”(午後1時~3時)のことです。未の刻頃に花が開くことが名前の由来のようです。でも、ずっと早い時刻から咲いているせっかちな花もあります。スイレンに比べるとずっと小さい花ですが、日本に自生するスイレンの仲間です。(「大平沼」で見ることができます)
ムラサキシキブ(シソ科)
夏の初め淡紫色の小さな花を咲かせ、秋から初冬にかけて紫色の小さな果実が熟します。どちらの紫色も、とても美しい色です。名前の由来は、「紫色のシキミ(重なる実のこと)」が転訛したとも、紫色の清楚な実を平安美女の紫式部にたとえたとも言われています。 (「ミズバショウの谷」などで見ることができます)
ヤナギラン(アカバナ科)
たくさんの花が下から上に順に咲き上がっていきます。開花後、雄しべが先に熟して花粉を散らし、後から雌しべの先が十字に開いて受粉できるようになります《雄性先熟》。右側の写真をよく見ると、雌しべの様子がよく分かります。細長い葉がヤナギを、花がランを思わせることが名前の由来のようです。 (「クリンソウの谷」などで見ることができます)
ふわっとした柔らかい印象 アワモリショウマ
アワモリショウマ(ユキノシタ科)
小花がたくさん付いている様子が、盛り上がる泡のように見えます。また、何枚かの小葉からなる葉はサラシナショウマ(升麻)の葉に似ています。それが名前の由来です。九州から近畿地方の山地などに自生する植物ですが、とてもきれいな花を咲かせるので、観賞用に庭園などにも植えられる多年生草本です。 (「七草の庭」で見ることができます)
マルバノイチヤクソウ(ツツジ科)
深山の林の中に生える多年草で、野草園で見ることのできる3種類のイチヤクソウの中のひとつです。今は本種だけが咲いています。葉は柄があり円い形をしていることが名前の由来です。下向きに咲く花が何とも可愛げです。 (「野草の丘」頂上付近で見ることができます)
アサザ(ミツガシワ科)
水辺に咲く可憐な一日花です。浅い水辺に生えることが名前の由来になっているようです。葉の腋から花茎を伸ばし、黄色い花を水面に咲かせます。その花の縁は糸状に細かく裂けているのが特徴です。 (「水辺の花コーナー」で見ることができます)
ママコナ(ハマウツボ科)
“飯子菜”と書いて、ママコナと読みます。赤紫色の唇形花にある白い膨らみの部分がご飯粒に見えることが名前の由来だという説があります。花の盛りが過ぎると、白い膨らみの部分は赤色に変化していくようです。(「野草の丘」林近辺で見ることができます)
ドクゼリ(セリ科)
何とも怖い響きの名前です。セリに似ていますが、草丈は80~100cmと大きく、地下茎も太くて竹のような節があります。本種の若葉を、普通のセリと間違えて食べ中毒事故も起きています。日本三大有毒植物のひとつです。名前は怖いですが、優しい感じの花を咲かせます。 (「水辺の花コーナー」で見ることができます)
オニノヤガラ(ラン科)
葉がなく、茎だけが真っ直ぐ地面から突き出しています。まるで、林の中の草むらに矢が突き刺さっているような雰囲気です。空の上から鬼が矢を放ったのでしょうか。まさに、《鬼の矢柄》です。オニノヤガラは腐生植物と言われ、光合成を行わずナラタケ属の菌に寄生して養分を得る特殊な生態の多年草です(「薬草コーナー」の東側の杉林で見ることができます)
アカバナシモツケ 咲き始め 間もなく満開
アカバナシモツケ(バラ科)
紅色の小花をたくさん付け、雄しべが長く花から突き出ているので、花が柔らかくふわっとした感じに見えます。6/17に紹介したシモツケは“木”でしたが、本種は“草”です。葉の形が全く違っていて、深く切れ込んだモミジの葉のような形をしています。写真のように満開になるのが楽しみです。 まるで、綿菓子の花の花壇のように見えます。(「ナナカマドの森」や「マグノリア通り」などで見ることができます)
ウリノキ(ミズキ科)
なんと不思議な形の花でしょう。濃い緑の葉の下に、密かにつり下がっています。くるりと外側に巻き上がった白い花弁から下がる、黄色の雄しべが目立ちます。まるで、紐で結び目をつくった飾りのようです。花後の果実も藍色に染まりきれいです。 (「ミズバショウの谷」東側の杉林の中で見ることができます)
キンコウカ(キンコウカ科)
黄色の細い花弁が6個あり、その色と形が“金色”の光を放っているようなので“金光花”という名前がつきました。 放射状に開いた花弁が、“光芒(こうぼう)”に見えますか。なんとも輝かしい名前です。(「ロックガーデン」で見ることができます)
ツルコケモモ(ツツジ科)
花を見たとき、「見たことある花の形だ!」と思うことでしょう。そう、カタクリの花の形に似ています。白っぽい色の花弁は、4裂してカタクリのように背面に反り返っています。一見、草のように見えますが、常緑小低木です。花後、1cm程の丸くて赤い果実がつき、「クランベリー」として食用にされています。 (「ロックガーデン」で見ることができます)
ラムズイヤー(シソ科)
西アジア原産の多年草です。全体が灰白色の綿毛で覆われているので、触るとやわらかい感じがします。葉の形が子羊の耳のようで感触がふわふわするため、名前が英語の「ラム(子羊)のイヤー(耳)」となったようです。小さい紅紫色の花が、次々に咲きます。 (「ハーブ園」で見ることができます)
クロモウズイカ(ゴマノハグサ科)
ヨーロッパからアジアにかけて分布する2年草です。高く立ち上がった茎に黄色い花を多数咲かせます。花糸(雄しべの柄)には紫褐色の毛がついていて黒っぽく見えます。 モウズイカとは“毛蕊花”と書き、“毛”が“蕊(雄しべ)”に生えている“花”ということです。(「ハーブ園」で見ることができます)