観察日記
葉の裏面が白色を帯びた「ウラジロヨウラク」
ウラジロヨウラク(ツツジ科)
中部地方以北に生育する高さ1~2mの落葉低木。花は白っぽい淡紅色で、壺型をしていて下垂して付きます。“ヨウラク”とは、花の様子が仏像の身に着けている首飾りのような装身具「ようらく」に似ていることからつけられた名です。“ウラジロ”は見ての通り、葉の裏が白っぽいからです。 (花の長さは11~14mm)
シャガ(アヤメ科)
光沢のある細長い葉を斜め上に向かって伸ばします。(草丈は50~60㎝)中国原産で、かなり古く日本に入ってきた帰化植物です。ほんのり淡い紫色の花弁の表面に、オレンジ色の突起物ができ、その部分を囲むように青紫色の斑点が入り、個性的な美しさが魅力です。(花径5㎝程)
テマリカンボク(スイカズラ科)
朝鮮半島原産の落葉低木(樹高は3~5m)。枝先に大きな花の塊を付けるカンボクの一種で、花序すべてが装飾花になっています。花の集まりの大きさは6~10㎝程になり、これが“てまり”と言われる所以です。葉は、カエデの葉のように浅く3~5裂しています。
イワヒゲ(ツツジ科)
寒い地方の高山の岩場などに生育する、匍匐性(地を這うような性質)の常緑小低木。本園では、「ロックガーデン」に生育しています。茎はひも状で、一見するとヒノキやイブキの葉にも見えます。葉腋から花柄を伸ばして、小さな壺形の白い花を下向きに付けます。(花冠は1㎝未満)
アブラツツジ(ツツジ科)
中部地方以北の太平洋側に多い落葉低木(樹高は高くても3mまで)。枝先に、5~13個の5mmほどの壺形の花を下垂してつけます。和名は、葉の裏が油を塗ったような光沢があることから来ています。秋には鮮やかに紅葉します。
シロバナタニウツギ(スイカズラ科)
本州~北海道の日本海側に自生する、日本原産の落葉低木(樹高2~m程)。よく目にするのはピンク色の花のタニウツギですが、時にはシロバナのものもあるのです。正しくは、シロバナウツギと呼ぶそうです。
水辺を彩る「カキツバタ」
ミズバショウやザゼンソウが見えなくなって、代わりに“アヤメ科”の花が咲きだしました。
カキツバタ(アヤメ科)
ヒオウギアヤメやノハナショウブに先がけて、水辺に咲くアヤメ科の花です。花茎の先に青紫色の花を付け、花びらに白色の条紋があるのが特徴です。和名の「カキツバタ」は、“書き付け花”がなまったもので、鮮やかな紫の色をこすり付けて染料に使っていたのです。(花径 10~15㎝)
チョウジソウ(キョウチクトウ科)
割合に湿った草原などに生育する多年草。茎は直立し、50~70㎝の高さになります。茎の先に薄紫色の花を多数つけます。上部は5裂して平らに開き、横から見ると丁の字に見えるのでこの名です。美しい花ですが、有毒です。(花径 2~3㎝)
ベニサラサドウダン(ツツジ科) 参考に右:ベニドウダン(ツツジ科)
ベニサラサドウダンは、中部地方~東北地方に分布し、紅色の鐘型の花に濃赤色の筋があります。サラサドウダンよりは小型ですが、色は濃い色です(花冠の長さ:6~8mm)。 ベニサラサドウダンの花冠はさらに細く小形で、ブドウの房のように花が付きます。小柄の花に縞模様は見えません。
ホタルカズラ(ムラサキ科)
乾いた草地や林縁に生える多年草。本園では「中央広場」北西側の樹木の下に咲いています。小さい花(花径は1.5㎝程)ですが、ムラサキ科の中では一番大きいそうです。蛍光を発しているような鮮やかな青なので“ホタル”の名が付きました。
林の中で白く目立つ「ミズキ」
ミズキ(ミズキ科)
北海道から九州まで広く分布する落葉高木。樹液が多く、早春に枝を切ると水が滴り落ちる程です。葉は側脈が平行に走り、ミズキ科の特徴を現しています。この時季、山肌で目を引く、テーブル状に咲いている白い花は、本種が多いようです。山形では、「だんご木」として知られています。
山に行くとよく見かける、ピンクの花もあります。
タニウツギ(スイカズラ科)
主に日本海側の山地に生える落葉低木です。小枝の先端や葉の付け根に、淡紅色の花を2,3個ずつ、まとめて付けます。花は漏斗型で、筒部は短く、先は5裂します。山形では「骨拾い花」と呼ばれていました。
シロバナハマナス(バラ科)
枝には細かいトゲがあり、一見してバラ科と想像できます。花には強い香りがあり、花後には、小さなトマトのような実が付きます。甘酸っぱい梨のような味がするので「浜梨」。それが訛って“ハマナス”となったそうな。「ウランウデの庭」の前で咲いています。
クルマバソウ(アカネ科)
茎の高さ10~30㎝で、低山の林の中などに生える多年草。茎には4稜があります。和名は、直立する茎に対して、細長い葉が6~10枚、放射状に輪生し、車の車輪のように見えるからです。花は漏斗型で、4裂の白花(径5mmほど)を4~10個程つけます。
ホウチャクソウ(ユリ科)
日本~東南アジアの雑木林の中などに群生する多年草。“ホウチャク”とは、寺院建築物の軒先の四隅に吊り下げられた飾りのことで、花の垂れ下がる様子が似ていることから和名が付きました。アマドコロやナルコユリに似ていますが、摘んだ時に独特の臭気を発し、また、花の先があまり開かないのが違う点です。
ボタン(ボタン科)
古い時代に日本に渡ってきた中国原産の落葉低木。「吉林の庭」で20㎝以上もある大きな花を賑やかに咲かせています。よく間違われるシャクヤクとの違いは、ボタンは枝分かれし、葉に切れ込みがあり、つぼみの先が少し尖り、そして何よりも木本であるということです。シャクヤクは草本です。