観察日記
長寿のサクラ…「エドヒガン」
✿✿ 気温がぐんぐん上がり、野草園は色々な花でいっぱいです。ミズバショウ、オオヤマザクラ、キタコブシ……咲き誇る花をめでながら、お弁当を楽しそうに広げる家族も多く見られるようになりました。今が見頃の野草園です。
エドヒガン(バラ科)
ソメイヨシノより一足早く咲く、薄紅色のサクラです。萼の付け根がブックリと丸く膨らんでいるのが大きな特徴です。葉が伸展する前に花が咲き、ソメイヨシノの片親としてもよく知られています。長寿の種としても存在感があり、樹齢100年を超える大桜も多いようです。 (「野草の丘」などに見られます。)
✿✿ サクラの開花状況 ✿✿
○オオヤマザクラ…ほぼ満開に近い状況、見ごろです。好天で開花が進んでいます。
○ソメイヨシノ…こちらもほぼ満開。見ごろです。
★世界に1本だけの「ミヤマカスミザクラ」…大分つぼみが膨らんできました。1週間くらいで咲いてくれるかな?
他に、○ジュウガツザクラ…満開です。 ○シダレザクラ…咲き始め。 ○カスミザクラ…まだつぼみです。
オオバクロモジ(クスノキ科)
緑色のスベスベした木肌に、黒い墨で文字を書いたような斑紋が出る事が多いので、この名が付きました。葉や枝に爽やかな芳香があり、高級な爪楊枝などに利用されます。花は、真ん中にツンと立っているのが葉芽で、その周りを数個の黄色い小花が囲むように咲いて花序を作っています。 (「マグノリア通り」などに見られます。)
トウゴクサイシン(ウマノスズクサ科)
卵心形の葉は長さ5~8cmで、茎の先に擬対生につきます。花は淡汚紅紫色で、径は1~1.5cm。萼筒は丸い壺形で、大きく萼裂片を開きます。萼裂片の先は尖った形です。 (「深樹の小径」に見られます。)
ウメ(バラ科) 左はハクバイ、右はコウバイ
中国原産で、葉の伸展に先だって花を咲かせます。モモと異なり、一節に1個だけ花を付けます。とてもよい香りの五弁花で、「馥郁(ふくいく)たる梅の香り」などと、良い香りの代表のように扱われます。色は白色~紅色と多種あるようです。 (「吉林の庭」に見られます。)
園のシンボルツリー「オオヤマザクラ」が咲いています。
オオヤマザクラ(バラ科)
別名「ベニヤマザクラ」と言われる、赤味の濃い花を咲かせます。花径は3~5cmと大きく、見ごたえがあります。若葉も赤い色をしていますが、夏には緑色に変わり、秋には赤や黄色に紅葉します。北海道~四国の一部などに自生している野生のサクラです。ヤマザクラに比べ花や葉が大きい事から名づけられました。 (「マグノリア通り」「野草の丘」などに見られます。)
✿✿ サクラの開花状況 ✿✿
○オオヤマザクラ…全体的には咲き始め。早い木は3~5分咲きです。見ごろは5/2頃と思われます。
○ソメイヨシノ…蕾がだいぶ膨らんでいますが、あと2,3日で開花する感じです。咲き始めている木もあります。
○ミヤマカスミザクラ…“世界に1本だけのサクラ”。5月初旬に開花の見込みです。(データ不足で何日とは言えません。)
ほかに、○ジュウガツザクラ…満開です。 ○オクチョウジザクラ…満開です。
オオバナノエンレイソウ(シュロソウ科)
園内では、花の目立たない「エンレイソウ」が初めに咲き、次に本種が咲き、最後に後述の「シロバナエンレイソウ」が咲きます。大きな菱型の3枚の葉の中心に、径3~4cmの白い3弁花を開きます。萼にあたる外花被片は緑色で、花弁にあたる白い内花被片の先はあまり尖りません。花が上向きに咲くのも特徴です。 (「薬草コーナー」を過ぎた杉林の林床に見られます。)
シロバナエンレイソウ(シュロソウ科)
菱型の3枚の葉の中心から花茎を出し、白い3弁花を咲かせる姿は「オオバナノエンレイソウ」とよく似ていますが、本種は白い内花被片の先が尖り、緑色の外花被片も同じくらい長い点が異なっており、何よりも花が横向きに咲く点が違います。別名は「ミヤマエンレイソウ」 (「ひょうたん池」の西側に見られます。)
ハウチワカエデ(ムクロジ科)
秋には“天狗の羽団扇”のような見事な“モミジの葉”を付け、紅葉でも楽しませてくれる本種。花は10~15個つき、花弁に見える紅紫色の萼片は長さ6~7mm、花弁は小さく淡黄色で5個あります。雄しべの先の葯が黄色く目立ちます。雄花と両性花が混生しているようです。 (「カエデの森」等に見られます。)
奥ゆかしい日本の花…「トガクシショウマ」
トガクシショウマ(メギ科)
長野県の戸隠山で発見され、別名「トガクシソウ」とも言われます。茎の先端に、淡紅紫色の径2㎝程の花を開きます。6個ある萼片が花弁状になり、本当の花弁ははるかに小さく内側にあって鐘状になります。うつむき加減に咲く花の姿が、奥ゆかしい感じのする日本特産1属一種の植物です。 (「ひょうたん池」西側に見られます。)
ユキツバキ(ツバキ科)
日本海側の多雪地に生育する常緑低木。幹はしなやかで、雪が積もると地に這い、雪が解けると立ち上がります。ヤブツバキと比べると葉と花弁は質が薄く、花糸(雄しべの軸)は黄色です。しかも、茶筅のようにまとまらずバラバラな感じです。ツバキは咲き終わると、花全体が落ちてしまいます。 (「マグノリア通り」等で見られます。)
タムシバ(モクレン科)
日本海側に多く、山地に普通に自生しています。葉が伸びる前にコブシに似た甘い香りのする花を咲かせます。葉は裏が白っぽく、葉や枝を噛むと香気と甘みがあるそうです。コブシと違って花の付け根に葉は付きませんし、花弁の質も少し厚みがある感じです。 (「ロックガーデン」等で見られます。)
ハシリドコロ(ナス科)
ナス紫色の花は長さ2㎝程の釣鐘型で、先は浅く5裂し、内側は淡緑黄色をしています。若葉は柔らかくておいしそうですが、葉と地下茎には猛毒を含んでおり、山菜と間違えると大変なことになります。あまりの苦しさに「トコロ構わずハシリ回る」事からの名前のようです。地下茎がオニドコロに似るからという説もあります。 (「藤棚」近くに見られます。)