観察日記
春と秋の二回咲く水辺の花…「リュウキンカ」
リュウキンカ(キンポウゲ科)
湿地や沼地に生える多年草で、普通は春に咲く花ですが、本園では春と秋の二回咲きます。30㎝ほどまで茎を立ち上げ、鮮黄色の花を茎頂に咲かせるので“立金花”です。花弁状の萼片が5~7片で花径は2~3cm、葉はワサビやフキと似ています。 (「クリンソウの谷」に見られます。)
ツルリンドウ(リンドウ科)の果実
山地の木陰等で茎をツル状に伸ばし、左写真のような花を咲かせ終わったと思ったら、早いものはもう果実(右写真)を付けています。果実は液果で、長さは2㎝ほど、先っぽには、まだ花柱の名残が見えるものもあります。艶のある紅紫色の果実で、とても美しいものです。 (「大平沼」東側などに見られます。)
トチノキ(ムクロジ科)←トチノキ科の果実
10mを優に超える大木になる落葉高木で、春に左写真のような白花の花序を見せていましたが、現在は右写真のような径3~5cmの実を多数付けています。中には、クリに似た種子が入っていて、この果実はあく抜きをしてトチ餅などに利用されます。本園では、子供たちとトチ笛を作って楽しみます。 (「中央広場」付近に見られます。)
ヌルデ(ウルシ科)の虫こぶ
山地に普通に生える、高さ6mほどになる落葉小高木。ウルシにそっくりな羽状複葉を付けますが、茎(中肋)に狭い翼が付くのが特徴です。小形白色の花を多数円錐状に付け、花後に核果を結びます。写真は“虫こぶ”で、昔は既婚女性のしるしであった“お歯黒”の材料として使われました。 (「吉林の庭」などに見られます。)
梅鉢の家紋に似た花…「ウメバチソウ」
ウメバチソウ(ニシキギ科)←ユキノシタ科
山地の湿り気があり日当たりの良い所に見られる、草丈20cm程の多年草。花茎に付く葉は柄が無く、心形で茎を抱きます。花は白色五弁で、径は2~2.5cm。“梅鉢”と言う家紋に似ていることからの和名です。 (「ロックガーデン」で見られます。)
オヤマボクチ(キク科)
アザミに似た頭花は余り目立ちませんが、裏に真っ白な綿毛を付けた広卵形の葉(長さ10~20cm)は特色があります。山形では“ゴンパ”と呼ばれる多年草で、餅などに混ぜて活用されます。暗紫色の頭花は、径3~4㎝で、筒状花からできています。名は綿毛が火口(ほくち)に用いられたことからです。 (「ロックガーデン」登り口に見られます。)
ヤブツルアズキ(マメ科)
「学習センター」のドウダンの植え込みに、茎がツル状になって黄色い花を咲かせました。長柄のある葉は3出複葉です。葉腋から出た花軸に付く黄花は、旗弁が円形で直立し、その下に他の花弁を抱き、竜骨弁は合着してらせん状に曲がった形です。そして、雄しべも雌しべも同様に曲がっています。
ベニバナヤマシャクヤク(ボタン科)の果実
山地の林内に生え、紅紫色の花(右写真)を咲かせます。今は、左写真のように、派手な果実を見せています。高さ30~50㎝の茎の上部に、アケビに似た、長さ3~4㎝の長楕円球の果実が3つ房のようになっています。中の青黒く丸々となっている種は受粉したもので、赤い種は不稔のものです。(「ミズバショウの谷」から入った杉林の中に見られます。)
日本在来の薬草…「ハッカ」
ハッカ(シソ科)
溝地や沼の近くなど、湿った場所に生える日本在来の多年草。茎の高さは20~50㎝、対生する葉は狭卵形で、葉脈が深くクッキリと入ります。全体にスーッとする強い芳香があり、薬用や香料に利用されます。花は上部の葉腋に球状に集まり、淡紅色で花冠は長さ4~5mmで4裂します。 (「水辺の広場」などに見られます。)
シオン(キク科)
野菊をよく目にする季節ですが、その中でも凛とした姿を見せてくれるのが本種です。草丈は1.5m程で、縁に鋸歯のある長楕円形の葉を互生させ、茎頂に径2.5~3.5cmの頭花を多数付けます。周囲の舌状花は淡紫色で、中心の筒状花は黄色です。本州~九州に分布しますが、野生のものは稀なようです。 (「友好姉妹都市の庭」近辺に見られます。)
メガルカヤ(イネ科)
山野に生える多年草で、草丈は0.7~1m。葉は広線形で、基部近くに長い毛がブラシの様に生えています。上部の葉腋から短い枝を出し、6個の小穂が集まった穂を出し、緑褐色の花を付けます。小穂は結実すると太い褐色の芒(のぎ)のある果実を付けます。 (「友好姉妹都市の庭」近辺に見られます。)
タマゴタケ(テングタケ科)
子実体(幼体)は白い外被膜に包みこまれ、まるで卵のようです。天頂部が裂け、カサと柄が伸び、6~18cmの高さになります。真っ赤なカサは径4~15㎝で、最後はほぼ平らに開きます。黄色い柄には赤褐色のダンダラ模様が現れるのが普通です。テングタケの仲間である事とその派手な色から、毒キノコと思われがちですが、食べられます。ただし、似た毒キノコもあるので、十分に注意が必要です。 (「深樹の小径」などに見られます。)